水漏れで火災保険を有効活用方法
「外出先から戻ると、家の床が水浸しに…」
「上の階から水が漏れてきて、家財が濡れてしまった…」
このような住宅の水漏れによる損害は、火災保険で補償できる可能性があります。
今回は火災保険の水濡れ補償について住宅の水漏れに多いトイレと洗濯機のトラブルを例に、どのような場合に補償されるか、集合住宅で他人の家から水が漏れて来た場合、また他人の家に損害を与えてしまった場合についての保険適用について解説します。
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こんにちは!
生活救急車の保険担当、スタッフと申します!どうなさいましたか? -
自宅トイレの給水管と壁の繋ぎ目から水が漏れているんです。
おかげで壁も床も濡れてしまって困っています。すぐに来てもらえますか!? -
なるほど、すぐにお伺いします!
ところで、ご契約中の火災保険に「水濡れ」の補償はついていますか? -
えっ?火災保険ですか?
火災保険って火災の保険のことですよね?水漏れで火災保険が使えるんですか? -
ご契約中の火災保険が「水濡れ」を補償対象としている場合、建物や家財の損失に対して保険金が支払われる場合がありますよ。
すぐにお伺いしますので、火災保険の保険証券をご用意してお待ち下さい。
火災保険とは
火災保険は、火災によって生じた建物や家財に生じた損害を補償してくれる保険です。
その名前からして火災のみの補償と考えられがちですが、実は火災以外にも様々な事由による損害を補償してくれる保険になります。
火災以外の事由とは、例えば、落雷や風災、水災といった天災による損害や、物体の落下や飛来、衝突、集団による暴力行為、盗難、水濡れ、その他不測かつ突発的な損害による事故が該当します。
火災保険の補償範囲
契約中の火災保険が建物のみを補償するタイプであれば、壁や床などの建物部分にのみ発生した損害が補償の対象ですが、家財を補償の対象としていれば、電化製品や家具、衣類などに生じた損害も補償の対象となります。
ただし、家財を補償する場合には、例えば1組30万円を超える貴金属や宝石、書画、骨董といった美術品等、保険証券に明記されていなければ家財補償の対象にならないものがあるので注意しましょう。
地震や水災は対象外
火災保険の前提として「地震」による損害は保険の対象外です。
また「水災」による浸水や雨漏りなどの損害も「水濡れ」の対象外となります。
まさかの水漏れで甚大な被害も
住宅の水漏れによるトラブルは多く、中には外出先から戻ると家が水浸しという体験をした人や、出かけた先で電話を受けて水漏れの事実を知り、慌てて帰宅した人も少なくありません。
主な水漏れの原因としては、
- トイレが詰まって水が溢れる
- トイレのタンクや配管から水が漏れる
- 洗濯機やキッチン、洗面台、浴室の排水管詰まりなどによる浸水
などがあります。
もし外出中で対処が遅れてしまい壁や床を貼り替える事態となれば、それだけでも数十万円の損失となるでしょう。
しかし、このような甚大な被害も火災保険が適用できれば、場合によっては自己負担額なしで全額補償されることもあるのです。
火災保険でいくら支払われるのか
火災保険で支払われる金額についての計算方法は、契約した火災保険の保険金額が、建物の保険価格(時価)の80%以上かどうかで変わります。
80%以上であれば、保険金額を限度に実損額が全額補償され、80%未満であれば、保険価格の80%の金額に対する保険金額の割合で、実損額が支払われるというものです。
ただし最近の火災保険では、損失額から免責金額を差し引いた金額が支払われるというシンプルな商品も登場しています。その場合、支払われる保険金額は(損失額)-(免責金額)です。
この損失額は、再調達価格を基準とします。
再調達価格とは、同じものを調達する場合に必要となる金額のことで、ほぼ実費と考えてよいでしょう。
また、免責金額とは自己負担額のことです。
免責金額を設定すると保険料は安くなりますが、損害が発生した際には一定の自己負担額が発生します。
自己負担額を設定しないこともできますが、保険商品によっては免責金額がもともと設定されているものもあります。
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火災保険の補償範囲は、実はこんなに広かったんですね。
火災保険という名前からは想像もつきませんでした。
全ての火災保険が、この保険事由すべてを対象としているんですか? -
いいえ。
火災保険には、大きく分けて「住宅火災保険」と「住宅総合保険」の2タイプがあります。
「住宅火災保険」の場合だと、その補償範囲は火災、落雷、風災といった、水災以外の災害を補償するものに限られてしまいます。
多くの保険会社が、水濡れも補償できる「住宅総合保険」タイプの火災保険を取り扱っていますが、中には住宅火災保険タイプもあるので、まずはご自身の保険タイプに「水濡れ」があるかどうか確認する必要がありますね。
火災保険でトイレの水漏れはどこまで補償できるのか
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なるほど。
これは給水管から漏水していますね。おそらく部品を交換すれば直るでしょう。
問題は壁ですね。壁とクロス内の隙間に水が入ってクロスが浮き上がっています。
これはクロスを張り替えた方がいいでしょう。 -
そんな…
壁のクロスなんて張り替えたら、一体いくらかかるんだろう。 -
待って下さい。Bさんがご契約中の火災保険には「水濡れ」の補償がありましたね。
今回は「給排水設備の事故」なので、クロスの張替えにかかる費用は補償されると思います。保険会社に確認してみて下さい! -
本当ですか!
さっそく確認します!
水濡れの補償範囲
火災保険が補償する「水濡れ」では、「建物内外の給排水設備の事故によるもの」と「他の戸室で生じた事故に伴う漏水」によって発生した損害が補償の対象です。
まずは、水濡れの補償の対象となる「給排水設備の事故」について解説します。
「給排水設備」とは
水濡れによる損害が補償されるかどうかで、最も注意が必要なのは「給排水設備」の範囲です。
「給排水設備」とは、水道管や排水管、貯水・給水タンク、給湯ボイラー、雨樋、浄化槽、温水器など、その建物もともとの設備を指します。
例えば、排水管に異物が詰まったため、水が溢れた場合の水濡れ損害は補償の対象ですが、自分で設置したホースや、そもそも給排水設備ではない浴槽などから水が溢れた場合は、補償の対象外となるのです。
対象となる「事故」とは
水濡れの保険対象となるのはあくまで「給排水設備の事故」ですので、予想可能な事態や突発的でない事態によるものは保険の対象外です。
対象外となる例としては
- 過去に給排水設備から漏水したのに十分な修繕を行わず、再度同じ設備から漏水した場合の損害(再度漏水することが容易に予想できるため)
- 雨漏りによる損害(基本的に老朽化が原因のため)
- 老朽化により徐々に漏水し、床等が腐食した場合の損害
などがあげられます。
給排水設備そのものの修理費は対象外
水濡れにおける補償では、排水管など給排水設備事態に生じた損害は補償の対象外となります。
取り替えたパッキンなどの部品代金も基本的には対象外となる場合が多いようです。
火災保険によっては「臨時費用保険金」として現状回復に伴う諸費用が支払われる場合もありますが、特約限定である場合がほとんどで、中には火災や風災等に限定されている場合もあるため、まずは保険会社に確認しましょう。
ただし、水道管が凍結により破裂した場合の水道管に生じた損害は補償の対象になります。
トイレの水漏れはどこまで補償できるのか
それでは、トイレの場合はどこまでが給排水設備になるのでしょうか。
トイレの給排水設備については「トイレの水洗用の設備」と説明されている保険が多く、トイレの水回りのトラブルに広く対応しています。
そのためトイレの給排水管からの漏水による損失や、トイレの排水詰まりによる浸水、汚損による損失も補償の対象となります。
保険請求するなら業者修理がおすすめ
水濡れで保険請求をする場合は、どの部分が水漏れしているか、またその原因が何かがポイントとなってくるため必要に応じて給排水管等の写真撮影が求められます。
そのため水漏れの修理は保険請求に詳しい専門業者に任せることがおすすめです。
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こんなに補償範囲が広いなら、自分でトイレを詰まらせてしまった時の損失も火災保険で補償できるんですか?
最近、猫のトイレ砂を捨てるのが面倒でトイレに流して詰まらせたっていうニュースを見たんですが… -
トイレの排水詰まりによる水濡れや汚損も、火災保険の水濡れ補償で対応できます。
ボールペンをトイレに落としてしまって詰まらせた際の水濡れについて、保険が適用された例もあるようです。
しかし、その猫のトイレ砂の話には別の問題がありますね。
故意に引き起こしたものは事故ではありませんので、そもそもどんな保険も適用できません。
仮に猫のトイレ砂を流すことによってトイレを詰まらせるつもりがなかったと主張しても、通常の行為ではありませんから過失の割合が大きすぎます。
過失割合が高いほど、保険適用は難しくなるんですよ。
他にも、自分でDIYをしてトイレを改造し、水漏れを引き起こした場合も難しいでしょう。 もちろん、最終判断は保険会社が行うことですが… -
確かに何でも補償していたら、古い家財を買い換えるために、わざと水漏れを起こす人もでてくるかも知れませんからね。
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自分で水漏れをわざと起こした場合や、通常の使用から逸脱した使用を行った場合、また個人の過失があまりに大きい場合での損失は保険が適用できない場合もあるので注意が必要です。
天井から水漏れ!?火災保険は使えるのか
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はい!生活救急車の保険担当、スタッフです!
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スタッフさん、先日はありがとうございました。
おかげで保険会社から無事にクロスの張替え料金が振り込まれましたよ。
本当に助かりました。 -
それはよかったです!
わざわざご連絡ありがとうございました。 -
実はその件とは別に、新たな水漏れがあってちょっと困っているのでご相談したいのですが…
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もちろんです!
どうなさいましたか? -
はい。実は今、天井から水が漏れていて私の部屋の天井や壁、家財が水に濡れているんです。
どこから漏れているのかよくわからないので、こういう時はまずどうしたらいいんでしょうか。 -
天井の水漏れは、上の階の住人が原因の場合もありますし、マンションの共有部分の給排水管が原因の場合もありますから、まずはどこからの水漏れか調査する必要がありますね。
マンションの管理会社が調査をしてくれるケースが多いので、まずは管理人さんに連絡してみて下さい。
分譲マンションで水漏れした場合
分譲マンションで水漏れした場合は、どこからの水漏れか明らかである場合を除き、まずは水漏れの原因を調査する必要があります。
この調査はマンション管理会社が請け負ってくれる場合が多いため、まずはマンションの管理人に連絡をしましょう。
もし水漏れの原因箇所がマンションの共有部分にかかる給排水管であれば、マンションが加入する火災保険等で対応してもらうことも可能です。
賃貸の場合
賃貸マンションやアパートで水漏れの被害に遭った場合も、まずは管理会社や大家さんに連絡しましょう。自分で水漏れを起こしてしまった場合も同様です。
入居時に加入を求められる火災保険で補償できる場合もありますが、大家さんが加入している火災保険等で補償できる場合もあります。
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マンションの管理会社に調査してもらったところ、上の階で洗濯機の排水管が詰まったことによる漏水が原因だとわかりました。
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洗濯機でしたか。
災難が続きましたね。
相手の方とは話をしましたか? -
はい。
ころが相手の保険では、私の家に負わせた損害を賠償できないようになっているらしいのです。
相手の奥さんが私の家に来て泣いて謝るものだから、私も妻も何も言えなくなってしまって…
この場合、私はどうしたらいいんでしょうか。 -
なるほど。 相手の方は個人賠償責任補償をつけていなかったのですね。
火災保険は、他人に負わせた損害を補償するものではないため、相手に与えた水濡れの損害までは補償できません。
相手に与えた損害を補償するには個人賠償責任保険に加入する必要があります。
他人の家の洗濯機からの水漏れ 火災保険はどうなるか
他人の家の水漏れによって損害を受けた場合、火災保険はどのように使用できるのでしょうか。
まずは洗濯機の水漏れに、火災保険が適用できるかどうか見ていきましょう。
洗濯機の水漏れと火災保険
洗濯機からの水漏れが給排水設備の事故によるものであれば、火災保険の「水濡れ」に該当し補償の対象となります。
注意が必要なのは、洗濯機に取り付けた排水ホースからの水漏れにより、室内が水浸しになるケースです。
洗濯機に取り付けた排水ホースは本来の給排水設備とはみなされないため、排水ホースが外れるなどして床や家財が水濡れしても、これは火災保険の補償対象外となってしまいます。
さらに洗濯機本体も給排水設備に該当しないため、本体から漏水した場合も火災保険の対象外です。
また火災保険で補償できるのは、基本的には被保険者の自宅であるため、他人に与えた損害は火災保険のみでは補償できません。
個人賠償責任保険とは
火災保険は、基本的に相手に負わせた損害を補償する性質のものではないため、今回のケースのように集合住宅で他人の家に損害を与えた場合、被害者の建物や家財を補償することができません。
相手に与えた損害を補償するには「個人賠償責任保険」に加入する必要があります。
個人賠償責任保険とは、日常生活における事故によって相手に何らかの損害を負わせた場合の補償を行ってくれる保険です。
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険など他の保険の特約としてつける場合が多いのですが、個人賠償責任保険を単独の保険とする商品もあります。
ちなみに、個人賠償責任保険に加入すると、例えば子どもが他人の物を壊したり、他人に怪我をさせた場合など家族全員が補償の対象となります。
そのためマンションのような集合住宅に限らず、加入しておくことがおすすめです。
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それじゃ、相手が保険に入っていない場合、自分の建物や家財の修理は自腹ってことですか?
それはちょっと納得がいかないですよ! -
待って下さい!
水濡れの補償対象は、「建物内外の給排水設備の事故によるもの」ともう一つ、「他の戸室で生じた事故に伴う漏水」でしたね。
そのためBさんが加入している火災保険に一度確認してみて下さい。
「他の戸室で生じた事故に伴う漏水」を補償する内容になっていれば、補償してもらえますよ。 -
あっそうでした!
さっそく私の保険会社に話してみます!
他の戸室で生じた漏水と火災保険
マンションだからと言って、全ての人が個人賠償責任保険に加入しているわけではありません。
仮にマンションの購入時に加入を義務づけられていたとしても、加害者となった人が保険を更新せずいつの間にか解約状態になっている可能性もあります。
相手に賠償するよう根気強く交渉したり、訴訟を起こすのは時間も費用もかかってしまいますし、何よりご近所トラブルはなるべく避けたいものです。
しかし諦めて自費で修理することも納得がいきませんよね。
この場合、まずは自分の火災保険で補償できないか確認しましょう。
火災保険の「水濡れ」の補償範囲は、「建物内外の給排水設備の事故によるもの」のほか、「他の戸室で生じた事故に伴う漏水」となっている場合が多いです。
この「他の戸室で生じた事故に伴う漏水」を補償するタイプであれば、マンションの上の階からの漏水でも自分の火災保険を適用することが可能となります。
補償範囲は通常の火災保険と同じで、濡れたものが壁や床などであれば建物の補償で保険金が支払われ、棚や衣類、PCやなどであれば家財の補償で保険金が支払われます。
しかも火災保険の場合、保険を利用しても保険料は上がりません。
トラブルも早期に解決でき、保険料も変わらないのですから自分の保険で直してしまった方が手っ取り早いこともあるのです。
水漏れお役立ち情報
「水漏れによって水道料金がいつもより高くなってしまった」
そんな時は、自治体の水道局に一度問い合わせてみましょう。
水道局では、給排水管等の破損による水漏れが発生した場合の水道料金の減免申請を受け付けています。
詳細な要件や申請方法は、各水道局で確認する必要がありますが、もし給排水管等の水漏れが発生した際は、水道料金を減額してもらうことも検討しましょう。
まとめ
火災保険の水濡れ補償では、
- 給排水管設備の事故による水漏れ
- 他の戸室で生じた事故に伴う漏水
によって生じた建物や家財の損失を補償してもらえます。
また、もし他人の建物や家財に損害を与えた場合は、個人賠償責任保険で賠償するか、相手が加入する火災保険で修理することが可能です。
生活トラブル救急車では、すぐにお伺いして、水濡れの保険請求に必要な写真撮影やお見積書などを作成させていただきます。
水漏れで困りの際は、ぜひ生活トラブル救急車にお任せ下さい。
※上記の内容は参考事例となっております、従いまして保険が使えるかの有無は契約内容に既存しますので、詳しい内容はご契約の保険会社へご確認ください。
その際にご相談などあれば、ご連絡をお待ちしております。
地域担当者がお客様のお宅へ最速30分でお伺いします!
0120-896-893